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つまみ食いはいけません 
2009 / 09 / 27 ( Sun )  22:58
 むかご、おいしいですよね。
おしろいばなに絡むむかご
 もぐもぐ。しゃくしゃく。


 ついでに。
 この前の山梨旅は、一泊二日。
 一日目は、勝沼ぶどう郷と、小淵沢。
 気ままに、ふら~っと、電車を降りて。

 勝沼ぶどう郷は、車窓から望む景色に目を奪われ。
 地の果てまでぶどう畑でした。

 小淵沢は、甲府方面へ向かう電車に乗ったら、その終点だったから。
 日暮れまで散策。知り合いさんばかりなのか、挨拶が温かい。

 で、二日目があの昇仙峡。
 先の記事にある勘違い登山道を戻り、正式に名勝へ進みいる。
 入ってすぐの区間となる下流側は、普段、車道らしい。
 休日は歩行者専用道になっているようだ。
 この日は日曜日、車は締め出され、歩くことでのみ観賞がかなう。
 それなのに、人っ子一人おりませぬ。聞こえるものは、水音だけ……
 たまーに、観光馬車がゆったりと道を過ぎていく。
 道幅が狭いものだから、すれ違うときはちょっと怖かったりする。
 加えて、過ぎたあとの残り香がすごい。途方もなく馬臭い。こりゃ、乗客の皆さんはたまりませんぜ。
 所々に橋が架かり、対岸の山中へ道が伸びていた。
 お、面白そうだ、あっち側は。ふらふら~
 はっ!! しまった、またさっきと同じ憂き目に遭ってしまうぞ。
 そうそう、ここへは企画切符で来ている。昇仙峡行きのバスとロープウエーの乗車券セット。
 せっかくロープウエーの券もあるのだから、寄り道は控えて山頂を目指しましょうな。
 渓谷は深く切り込んでいて高木はそこへ覆いかぶさるように茂り、日差しはいい塩梅に避けられている。
 それでも上り坂は、わしの体から湯気と汗を噴き出させていた。
 そんな折、湧き水の注がれているドラム缶が目に留まる。
 既に山奥をさまよってきてもいたわしにとって、それは魅力的な涼を与えてくれると直感させた。
 思いっきり両腕を突っ込んで涼む。
 幸せ……なんて思う矢先に、目に入るもの。
 「馬の飲用」
 ぶほっ。どこに手を突っ込んでしまっているんだー!!
 しかもあともうちょっとで飲もうとしていましたよ、どきどき。
 腕にあの馬臭さが移っていないか? くんくん。一応、大丈夫なようだ。
 途中のおそば屋さんでお昼。ふー、足が棒ですね。あと、腕を洗っておこう……
 まだロープウエーまで距離がある、踏ん張らないと。
 お昼を済ませ、また沢沿いを登っていく。
 やっと中ほどに着いたようだ、平日車道の区間を抜け、上流側、遊歩道となった。
 先ほどまでと打って変わり、人の波とその喧騒が響く。
 うん、言っちゃなんだが、下流側の方が雰囲気や景色は好きだったな。何より、ひとけがない。どっぷりつかれます。
 ここを歩いている人たちも、是非、帰りは下流へ寄ってもらいたいものだ。
 それに、こちらと比べて歩きやすかったというのも。
 車で登れる勾配だからね。遊歩道は険しさがしんどい。あ、わしがこたえてしまうのは、登山してきてしまったからか……
 滝を越え、渓谷の最上部に到達。
 おお、ロープウエーがある。あれに乗れば、頂上だ。
 出発までの待ち時間に案内地図を確認、山頂は展望のコースが8の字に回っていた。
 定刻にロープウエーは上昇を始め、なめるように眼下の森へ乗り上げていく。
 あれ、あんなに苦労して登りつめた山をするすると……うむ、文明の利器。
 ものの五分ほどで山頂到着、空気が更にすがすがしい。
 さ、左側に進むと展望台があるらしいぞ、と。お?
 地図に見たコースは8の字だったが、今、目の前には、記載のなかった道が見える。
 「登山道入り口」
 ……こんなところにもっ
 うん。もう、気は迷わない。
 行きます、登山道。だって、ロープウエーに乗る約束(・・)はもう果たしたんだから!
 そこはやはり、けもの道のような、人一人通れるだけ藪が開かれたもの。
 入るといきなり急勾配になり、どんどん下っていく。そりゃそうか、ここは山頂だったのだからな。
 あっという間に頂は見えなくなり、かまびすしかった人の声も聞こえなくなった。
 その先には看板が。
 「この付近にはクマやイノシシが出没しています。寄せ付けないために鈴やラジオ等……」
 お!
 お?
 鈴もラジオも持っておりませぬ。またしても、やばくないですか。
 でも、でも。却って好奇心が煽られてしまいました。
 よし、進もう。
 その代わり、全神経を周囲の気配に集中させながら。
 ときたま立ち止まり、より用心深く。
 なのに羽虫が多くて、あまり留まっていられない。
 耳に寄ってくるんだ、もしかして耳の穴って入りたくなるの?
 しかし、静かなもの。羽虫の羽音以外、何も聞こえない。
 鳥の鳴き声も、虫の音も、そして、わしならぬ何かが這い回る音も。
 本当に、どこかにいるのだろうか、けものたちは。
 この広い山の世界に、散らかっているのだ。
 どうして出会えようか。それに引き換え、人の住む町というのは、いかに特異なところか。
 どこまでも続く山道、もとい、けもの道。
 このまま進めば、別の登山口にまで達してしまうのではないか。そんな恐れを抱かせた。
 そうだ、もともと、山頂からの景色を楽しむために、ロープウエーに乗ったのだ。決して、山歩きをするためではない。それはそれで面白いけれども、ここに割く時間は、これで終わりにしよう。
 引き返す。とはいえ、どれだけの時間、歩いてきてしまったのか。
 時計は見ていないものの、優に三十分は歩いてきた筈……
 そしてその帰り道、見つけてしまう。うんちを。
 鳥や虫のものではない。明らかに、何らかのけものだ。
 もちろん、わしのではない。まあ、人のものだったらどっきりびっくり嫌だが。
 しっとりしていて出来立てほやほやだ。近くに、いるのか?
 これは危険なのかもしれない。ただ、その大きさから、それほどの獣ではないことが予想される。
 とにかく、道を戻ろう。今まで以上に神経を研ぎ澄ませながら。
 ずーっと歩いていくと、今度は、乾いたものを見つけた。これは、古いものだ。多少は安心だろうか。
 なんとなく、見覚えのあるところまで来る。多分、もうすぐ山頂だ。
 そのうち、人の声がかすかに耳へと届く。
 道へ、出た。振り返る。来た道はとても「道」には見えなかった……

 とゆー、登山に始まり登山に終わる、そんな昇仙峡でした。

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Author:がらへび
描くのは好き、作曲も好き、お話も書きたい、いろいろ食指がのびてます。
創作サークルの七草粥で活動しています。

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